1 ところ変わって、温泉で知られる登別の大湯沼(おおゆぬま)。 登別観光協会のサイトによると、この沼(周囲約1キロ)は噴火の火口跡。 沼底は約130度の硫黄泉が激しく噴出し、表面も約40〜50度。 大湯沼からあふれた湯が川になり――、 天然の足湯となる。 森の中なのに、大変な人出だ。 快適な湯温だが、地球は生き物。 時に高温の湯が流れてくるそうだ。 再びところ変わって、墓参り。 見慣れた看板が出迎えてくれた。 雨に濡れたキキョウで北海道の旅を締めくくろう。 もうすぐ咲く。
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by muffin-man
| 2017-08-18 21:07
| おまけ
2階へ続く階段を上りきると――、 窓ガラスがはまっているのが不思議なくらいだ。 草も生えている。 まさかシャワールームってことはないよな。 そして、手前の物体は? 「危険 高電圧」。 幾年月を経ても、なぜか文字は消えない。 しっかり記憶しておけ、と言わんばかりに。 「操作可」「操作不可」。 ありがとうございました。 と、施設に礼を言って外に出ると、トンボが何匹も飛んでいた。 北海道はもう秋だ。 旧北炭清水沢火力発電所を後にして、三菱南大夕張炭鉱殉職者の碑を訪ねる。 1985年(昭和60)5月17日、大規模ガス爆発事故があり、62人もの炭鉱員が犠牲になった。 わたしは当時、岩見沢(夕張から直線で約33キロ)で勤務しており、真っ先に現場に急行し、取材に明け暮れた。 碑は、今では使われなくなった南部市民体育館の裏手にある。 この大事故をきっかけに三菱南大夕張炭鉱は1990年(平成2)に閉山した。 全く人の姿が見えない。 足下はエゾシカの糞にまみれている。 それでも誰が供養しているのか、碑には花が手向けられ、掃除も行き届いている。 わたしも合掌した。 シューパロ湖に向かう国道沿いに、三菱大夕張鉄道の車両が保存されている。 車両の中に入ることができる。 床の油の匂いがプンと香った。 旧北炭清水沢火力発電所の「高電圧」などの注意板と同様、全体がどんなに古びても、どこかに「記憶装置」が残っているものだ。 そして、シューパロ湖(人造湖)。 取材で駆けずり回った大夕張(夕張市鹿島、南部地区)の街は湖底に沈んだ。 湖面から姿を覗かせている橋や道路は、これもまた「記憶装置」だろう。 もと来た道に戻り、市役所方面へ車を走らせていると、鹿の谷でこんな風景に出合った。 川の上に架かる鉄橋。 JR石勝線かな、と思いきや……、 線路が2つあり、手前は廃線になっている。 終点・夕張駅。 隣接する「ゆうばり屋台村(バリー屋台)」だけは観光客でにぎわっていた。 かつて何度も往復した道を通って、岩見沢方面に向かう。 途中、岩見沢市毛陽でリンゴ畑に再会した。 そうそう、リンゴ農家も取材したものだ。 1985年(昭和60)3月いっぱいで廃線になった国鉄万字線をバックに、白い花が満開のリンゴ園を撮影したこともあった。 それがどこだったか探してみたが、見つけられなかった。 もしかしたら、そんな都合のいい撮影場所など実は存在せず、勝手に記憶をつくりあげていただけなのかもしれない。 ―以下、おまけ― 企業と自家発電の歴史は古くて新しい。 2011年3月の東日本大震災では、電力不足や計画停電という未曾有の危機に直面する一方、大手鉄鋼メーカーなどでは震災前から、自前の発電設備で電力をまかなっていることに注目が集まった。 震災後、さまざまな企業で自家発電の設備が新増設され、昨年3月11日付の日本経済新聞によると、国内全体で原発7基分に相当する設備が増えたという。 旧北炭清水沢火力発電所の時代までさかのぼると、この発電所のスタートと同時期の1925年(大正14)、千葉の片田舎にも小さな発電所が完成した。 事業主は、近年人気の小湊鉄道。 発電所は「関東の駅百選」にも選ばれた上総鶴舞(かずさつるまい)駅に造られた。 小湊鉄道のほぼ全ての施工に関わった鹿島の資料によると、発電所はディーゼルエンジンの発電機を2機備え、駅舎のみならず、近隣の9村に電力を供給していたという。 たまたま5年前の秋、写真仲間と小湊鉄道と上総鶴舞駅を撮影しに行った折、この発電所跡の碑を撮った。 鹿島の資料には「現在も残る発電所建屋」として、この建物の写真が掲載されている。 といっても、おそらくメーン棟ではなく、あくまで施設の一部だったのではないかな(ただの推測です)。 ―さらに、おまけ― 東日本大震災から約2週間後の秋葉原。 電気店はネオンの灯火や店頭の音楽などを軒並み自粛したため、街は暗く、行き交う人々の靴音だけが響いていた。 首都高も照明が制限され、驚くほど暗かった。 震災は「電気のない都市」の姿を垣間見せた。 ▲
by muffin-man
| 2017-08-16 20:15
| おまけ
夕張へ行こう、と思い立ち、夕張フォレストユースホステル(YH)を予約しました。 夕張は30年以上前、仕事で何度も訪れた街です。 レンタカーで新千歳空港から向かったYHは、美しいたたずまいでした。 さて、旅の目当ては、YHから車で約6キロの旧北炭清水沢火力発電所。 1926年(大正15)から1991年(平成3)まで、炭鉱会社の北炭(北海道炭礦汽船)が操業していた発電所です。 90年以上前の施設だけに、すさまじい老朽ぶり。 だが、冬の過酷な気候のことを考えると、よくぞ崩壊せずに残っているものだ、とむしろ思う。 しいて最寄り駅と言うと、JR石勝線の清水沢駅。 だが、現地へは車で行かなければならない。 ちなみに、この駅はかつて三菱石炭鉱業の石炭を運ぶ大夕張鉄道線も運行されていたが、1987年(昭和62)に廃止された。 旧北炭清水沢火力発電所に行く前に、近くの清水沢炭鉱ズリ山に向かう。 ズリとは、採炭時に出る石炭以外の不要な岩石で、廃棄され積み上げられたのがズリ山。 北海道では「ズリ」というが、九州の炭鉱では「ボタ」と称された。 NPOにより、2011年から草刈りや階段の設置などの整備が進められている。 ありがとうございます。 足下は全て「ズリ」。 黒いが、石炭ではない。 頂上に到着した。 高さ60メートル。 かなり高く感じる。 中央の建物が旧北炭清水沢火力発電所。 往時はこの数倍も巨大だったが、解体され続け、 当時の全景写真を見ると、ピンクフロイド『アニマルズ』( さあ、行こう。 ここが入口。 所定の場所に車を止め、歩いてここまで来る。 旧北炭清水沢火力発電所は廃屋ではない。 地元の企業が所有し、実際に作業をしており、地元の団体が夏場に限って一部施設を公開しているのだ。 無断で立ち入ることはできない。 「かつて想像していた未来世界」――計器などが整然と並ぶ様子を見ていると、そんなイメージが浮かぶ。 子ども向けSF小説の挿絵に出てきたような。 操業時の写真(撮影年不詳)が壁に貼ってある。 「かつて想像していた未来世界」のイメージそのものじゃないか。 少年が操作しているように見える(そんなはずはないが)。 メーカーの名前なども確認できる。 日立製作所。 無線機かな。 戦前の昭和14年(1939)製造。 芝浦製作所とあるが、現在の東芝だろうか。 富士電機製造。 現在の富士電機だとすると、一般には自動販売機でなじみがあるね。 床には苔が生えている。 冬場は、破れた窓から吹き込む雪がかなり降り積もるだろう。 2階もある。 階段の意匠が工芸品のようだ。 「その2」につづく=16日(水)夜アップ予定
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by muffin-man
| 2017-08-14 19:10
| おまけ
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