六区です。
中央の路地は戦前にはなく、一角にはオペラ館がありました。
1938 (昭和13) 年に永井荷風のオペラ 『 葛飾情話 』 が上演された劇場です。
オペラ館は戦時下、強制的に取り壊される。
最後の興行日、荷風は楽屋で芸人たちが泣きはらす様子を見て、珍しく人前でもらい泣きし、書いた。
『 断腸亭日乗 』 の中でも刮目すべき名文の一つだ。
一人悄然として楽屋を出るに風冷なる空に半輪の月泛(うか)びて路暗からず。 地下鉄に乗りて帰らんとて既に店を閉めたる仲店を歩み行く中涙おのづから湧出で襟巻を潤し首は又おのづから六区の方に向けらるるなり。
『 断腸亭日乗 』 1944 (昭和19) 年3月31日付
なお、写真には写っていませんが、手前の浅草演芸ホール (旧・浅草フランス座) に1カ月ほど前、ビートたけしがフラッと現れたそうです。
この写真にも小さく写っている渥美清と同様、浅草フランス座出身です。
ぶらり~散歩♪