荷風先生が妾 (めかけ) のお歌さんを囲っていた妾宅を探しに、虎ノ門に出かけました。
『 断腸亭日乗 』 昭和2年10月14日付によると、妾宅は桜田通り沿いの八幡神社の近くで、 『 菓子屋壺屋 (つぼや) の裏にある貸家 』 だったといいます。 キーワードは、『 壺屋 』 です。 ![]() が、何せ戦前のこと、それらしい和菓子屋など見あたりません。 ここは、神社の裏手。 違うアングルで、3月30日にも撮りました。 ![]() 近くの畳店のご主人に、壺屋について尋ねると、ナンとご存じで、 『 戦争で砂糖が手に入らなくなり、店を畳んで、昭和15~16年に引っ越しましたよ。 でも、神社に名前が残っているはず 』 と言います。 早速、神社を訪れると、正面の階段の中腹に――、 ![]() 壺屋は、桜田通り沿いの三菱東京UFJ銀行 (写真・左下) のあたりにあったそうです。 『 壺屋の裏 』 が妾宅。 つまり、この銀行の裏手のはずです。 でも、あのあたりは何度か訪れたことがあるような……。 ![]() 行ってみると、やっぱり。 この写真は、今年1月撮影。 一帯は、再開発が進み、空き家が目立ちます。 界隈は大空襲で焼亡しており、この家が妾宅だったわけではありませんが、すぐ近くにあったことは間違いありません。 ![]() まあ、だからどうだというわけではありませんが。 スナップ、スナップ写真 街頭写真 ![]()
by muffin-man
| 2007-06-03 21:48
| 虎ノ門/愛宕/増上寺
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Comments(32)
今晩は!お忙しそうでしたが、またブログを復活されましたね♪私もマフィンマンさん見習って、ぼつぼつやろうって思いました!
壺屋さんの痕跡というか、、見つけられましたね~。。その昔を偲んでしまいました。。このすぐ近くだったのですか・・ そういえば、先日図書館の不要になった本、払い下げで、なんと永井荷風さんの本を見つけてしまいました♪すかさずゲット!やったね(^^)/でも、なかなか読んでる暇がなくて(涙)しばらくPCはお休みして読書にふけりたいな~なんても思います♪
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先日は淫祠の"淫"に、そして今日は"妾"の文字に、なぜか激しく反応してしまったRambler5439です(^^;
おそらく昼なお薄暗い路地が縦横にはしっていたであろう街に、小物入れ一つぶらさげて愛人を訪ねる・・・・粋の極致ですね。よーし頑張ろう!! (って、何を頑張るんだか)
こんばんは。
マフィンマンさんのわくわく感が伝わってくるみたいで、楽しく拝見させていただきました♪ ひとつひとつ、足跡を追って、小さな印のようなものを見つけたときの喜びは、いいようもないでしょうね。 最後のお写真の階段をかくす板と、たくましいアロエに圧倒されました。
haru-155さん
お、先生の何という作品をゲットされたのですか? ここ数年よく思うのですが、古書ってのは安いですよね~(もちろん、初版本など稀覯本は別です)。 おいらが買った荷風全集は、29巻で1万円ポッキリ。 古書外で先日、谷崎潤一郎全集も全巻揃いで1万3,000円 なんてのを発見しました。
lucca-truthさん
そうなんですよ、おいらが伺った畳店は、lucca-truthさんが以前行かれた店です。 ご主人は戦前のことまで詳しく、とても親切に教えてくれました。 でも、まさか「壺屋」のことまで詳しくご存じとは思いもしませんでした。人に話を聞くに限りますね。 都内の他の街で「壺屋」という和菓子屋を見かけたことがあるのですが、関係ないかな~。
風俗散歩さん
この界隈は、20年も前から再開発が進められているにも関わらず、幸か不幸か、家並みはいまだに歯抜け状態のままで、“スッキリ”しないそうです。 まあ、20年と言えば、バブルが始まって崩壊して、さらに何年も経ってますからねえ。 玉垣はツタに覆われ、探すのが大変でした。でも、発見したときは「あった!」と大声を上げてしまいました
rrbさん
「時空調査官」ですかあ~、カッチョいいですね。 そんなふうに言われたら、舞い上がっちまいますよ、おいら。この日もマウンテンバイクで出かけましたが、愛車に「時空号」と名付けちゃったりして。 寺社仏閣ってのは大したもんだ、と思わずにはいられません。何せ、この界隈は大空襲で全滅したんですからね。 なのに、玉垣はしっかり残り、小さな「歴史」がしっかりと刻印されていました。
Rambler5439さん
荷風先生は、おいらを含むオヤジどもの心をツンツン刺激し続けます。 そもそもカネ(父親の遺産)があり、一人住まいで社交嫌いゆえ、女を囲おうが誰からも文句を言われない。趣味と実益の境目もハッキリしないまま傑作「墨東綺譚」をモノにしてしまう才能――。 「オッサンたる者、かくありたい」という究極の理想像です。
nobulinnさん
すべては畳店のご主人のお陰です。 やっぱり分からないことは人に聞いてみる――基本動作ですね。 アロエ……東京は今、こいつに浸食されつつあります。 あの毒々しい花の季節は終わったようですが、決して気を許してはいけません。
neonさん
調子づいて“妾宅探しの旅”をしてしまいましたが、荷風研究家なら、これしきの事実はとっくの昔に発掘しているんでしょうね。 発掘で思い出しましたが先日、南千住の例の寺を訪れた際、ちょっと覗いたら、無数に並んだ骨壺の一つに「平成3年……」と書いてありました。 一体どういうことなんでしょうね。
太郎さん
訪れたのが休日だったためか、境内はひと気もなく深閑としていました(眼下の桜田通りの交通量も、ご覧の通りです)。 神社ってのは、都心にあればあるほど休日はひっそりしていて、大好きな空間です。 玉垣はどれも古く、好い時間を過ごさせてもらいました。
このレポート実に興味深いところを回れましたね。
思いがあればこうして繋がっていくんですね。 「妾宅の地」掘れば戦前の頃と思われるビンや陶器が出て来るかも知れませんね。 すっかり荷風先生が憑いている様で羨ましいです。 私は鏡花先生に憑いて来てほしいかも……。
◎この辺りも良く歩きますが、、、
こんな風に写真で見ると、なんだか別の場所のようですね。
aoi_colorさん
荷風先生も鏡花先生も、お2人とも雑司ケ谷霊園に眠っているんですよね。 今年2月に荷風先生の墓を初めて詣でた折りに、鏡花先生のとんでもなく立派な墓を発見し、鏡花先生からもご加護を頂戴しようと、思わず合掌しました。 鏡花先生の墓……2メートルは軽くありますよね。
laura66airさん
そうですか、このあたりも「ご近所」なんですね。 虎ノ門5丁目界隈の再開発事業は20年ほど前から始まっているようで、そのころからポツポツ空き家が目立ち始めた、といいます。 でも、幸か不幸か、その後は大きな変化はないまま時が止まっているような印象です。 ![]()
壺屋探索お疲れさまでした。確かに壺屋(八幡町3番地)は銀行のところです。3番地と4番地の間に路地があり日乗の「壺中庵記」に一致いたします。ここからが難解で路地の突き当たりが何処かが分かれば解決です。
![]()
神保町の古書店主が壺中庵の位置を徹底的に調べていますので参考になります。恐らく99%の確率で当たっていると思います。壺屋の土蔵に沿いし路地の突き当たりです!
![]()
最後に銀行と隣の建物の間に路地跡があり現在は路地を塞ぐようにアパートの様な建物がありますが裏へ回ると路地とおぼしき小道が表通りから続いていたことが分かります。ここから先が難解です。
hikaruさん
ようこそお出で下さいました。 詳細なる“壺中庵ガイド”、大変興味深く拝読させて頂きました。 この界隈は戦後の面影を残していましたが、それも再開発により間もなく消え去る雲絵銘のようです。 「壺中庵があったのは、このあたりなのかな~」と、ウロウロ探索できるのも、これが本当に最後のチャンスかもしれません。 ![]()
同感です。今が最後のチャンスでしょう。私は路地のつき当たりとおぼしき廃屋跡から相当に古い敷石1個を持ち帰りました。荷風に踏まれた敷石と勝手に決め付け護符代わりに荷風本の傍に置いてあります。
hikaruさん
敷石というと、路地の途中で突然途切れている、あの敷石(の続き)ですか? 素晴らしいお宝です。 hikaruさんも、相当な“荷風フェチ”ですね~。 それにしても、あの界隈は住民がどんどん退去していってますが、相当広いエリアが再開発されるんでしょうかね。 旧市兵衛町は今や、元々の高低差がよく分からないような超激変ぶりですが、あんなになっちまうのは悲しいことです。 ![]()
御組坂~偏奇館跡地~道源寺坂まで再開発直前に写真に残しました。
壺中庵付近も同じく残せたのがせめての慰めです。現在の偏奇館跡碑の位置も正確ではなくで本当に残念です。荷風も忘れ去られてゆくのでしょう。大手町の夕暮れの1枚いいですね。感心しました。
hikaruさん
再開発前の写真とは素晴らしいですね。うらやましい! ところで、「荷風も忘れ去られてゆく」――おいらは全くそう思いません。 ご存じのように、来年は生誕130年・没後50年。出版社などが「荷風展」を開く可能性があります。 荷風関連の著書もある学芸員に聞いた話ですが、文学展は絵画展に比べ地味だけど、荷風と太宰治、宮沢賢治は客の入りでは別格のベスト3だそうです(意外なことに、この3人に比べると夏目漱石も三島由紀夫もずっ~と格下だそうです)。 いやいや、荷風展が開かれようが開かれまいが、“荷風チルドレン”は深く静かに増殖し続けます。 ![]()
言葉足らず汗顔の至りでございます。「荷風も忘れさられてゆくのでしょうか?」でした。私も熱烈なる荷風シンパであります。情報を一つ偏奇館は勿論既にありませんが麻布小学校近くの「インターナショナルクリニック」(外国人向けの医院?)ですが元院長先生が荷風ファンで病院の作りを偏奇館そっくりに建てたとの情報があり見に行きました。戦前の建物かどうかは疑わしいですが一度散策をお薦めいたします。中華民国の旧大使館があった関係で米軍が空襲目標から外していますの焼夷弾被害にはこの辺は入っておらず焼けていません。(港区は発行している沿革図集でも被害無しとなっています。)
hikaruさん
「偏奇館そっくり」の病院……ん? いつだったか、あの界隈を歩いた際にそれっぽい建物を見かけたような気が……。今度、ちゃんと確かめに行きます。 それにしても、酔狂な医者ですね~。やっぱり、「ホルモン注射」をバンバン打ってくれるのでしょうか(笑)。 話は変わりますが、『断腸亭日乗』の日々の日付の上に時折付されている「・」って、どう思われますか? 一般には、「女性と、いたした日」とされてますが、それだけでしょうか。 それも事実かも知れませんが、それだけなく、どうも「自分でいたした日」でもあるように思えるのですが。 あ、いや、どうでもいい話ですが。 ![]()
日乗の「・」の件ですが「・」は貴兄のご推察のとおりと思いますがその他「○」「◎」「レ」など色々原本にはあるとのことで真実は深い闇の中です。
今でも荷風研究家の「飯の種」になっていますので荷風が永光さん以外に残した遺産といえるでしょう。
hikaruさん
昨年の夏、養子である某氏の店に行きました。 いろいろと直接お伺いしたかったのですが、ご本人はいらっしゃったものの、いろいろ事情があり、話を聞くことは出来ませんでした。 今や数少なくなった荷風の証言者。 彼の著書で、戦後・荷風のリアルな様子はつかめますが、やはり、もう一言二言いただきたい!――というのは、実に勝手な荷風ファンの思い込みではあります。
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