東向島  玉の井・遠い灯影

この街に戦前の面影を求めるのは、無い物ねだりってもんです。
分かっちゃいるけど、あの 『 亀屋 』 で一杯ひっかけた帰りは、ついついカメラを向けてしまいます。
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荷風先生は、『 墨東綺譚 』 を書き終えた後の1938 (昭和13) 年にもこの街を訪ねており、11月27日付の 『 断腸亭日乗 』 には、以下のように記録しています。 すでに灯火管制が敷かれていますが、その闇に浮かぶ陋巷 (ろうこう) に感動しており、ここでも、ただならぬ感性を示しています。
 

改正道路は道幅ひろく折からの人家の屋根に懸りたる五日月の光に照らされたれど、女供の住める路地の中は鼻をつままれてもわからぬばかり暗きが中に、彼方此方の窓より漏るる薄桃色の灯影に、女の顔ばかり浮み出したり。 玉の井の光景この夜ほどわが心を動かしたることは無し。

※改正道路=現在の水戸街道。 東向島界隈では、『 ハイボール街道 』 とも呼んでます。

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by muffin-man | 2007-08-28 22:23 | 東向島/京島/墨田/向島/文花 | Comments(21)
Commented by nobulinn at 2007-08-28 22:33
こんばんは。
夜の寂しい空気が、なんとも言えず良いですね。
ぽつんと一軒だけ取り残されているみたいな古いおうちが、街灯に照らされ、余計寂しい感じがします。
荷風先生が通われてた頃は、ほんとに暗かったのでしょうね~。
ハイボール街道って、この界隈でほんとに普通に呼ばれてるのですか?
Commented by lucca-truth at 2007-08-28 22:43
こんばんわ
昔の花町の面影はもう無いんですね。
夜はよけいにひっそりとした雰囲気ですね。
水戸街道、いろいろな呼び名が合ったんですね。
Commented by Rambler5439 at 2007-08-28 23:07 x
構図、色合い、陰翳の具合、すべてが好みです。"東京ガス"という時代がかった看板も効いてますね。
今日、若かりしころのアラーキーが撮ったゴールデン街の裏側(都電跡)の写真を見て、暢気に涼んでる場合じゃねえや、と反省しました。この秋は、三脚担いでひたすら歩くつもりです。
Commented by neon at 2007-08-29 07:17 x
もう花街の香りはほとんど無いにひとしいのでしょうが、こういう何でもない裏町の一角でも、マフィンマンさんにかかると心に響く写真になりますね。荷風センセイの文章も非常に痺れますね。
Commented by macky5-ms at 2007-08-29 08:29
おはようございます。
玉の井の話はいろんな本で読んだ事はあるのですが、実際に行った事は一度も無く、
映画の『 墨東綺譚 』を見て何となくイメージしていました。今日は実際の写真を拝見できて嬉しい感じです。
『 亀屋 』さん、懐かしい感じのお店ですね!ハイボールがある事が又何とも・・・。行ってみたくなります。
リンクの件ありがとうございました。m(__)m
Commented by rrb at 2007-08-29 09:24 x
おはようございますm(..)m

亀屋…ハイボールのお店ですね。
毎回必ず撮ってしまうもの…ってありますよね。
人間の行動パターンでしょうか?
アタイもあります。
「前にも撮ったやん」と思いつつ、ついついカシャ。
ハイボール街道とは亀屋ファンの方々が命名?
Commented by KENT at 2007-08-29 19:32 x
こんばんは。
ハイボール街道とは、実におもしろいネーミングですね!
水戸街道=国道6号=ハイボール街道
亀屋さんも一役買われたのでしょうね?

作品も良いな~。お題も(^.^)
これはやっぱ!マフィンマンさん♪
Commented by haru-155 at 2007-08-29 20:02
今晩は!夜出歩くってことが最近あまりないので、、しみじみお写真見せて頂きました。私の知らない、どこか裏寂れた、、アルコールの吐息のするような路地が見える・・・赤い寂びた雰囲気の扉と、シミの浮いた壁が時代を感じさせますね!

夜景って露出が難しいと思うのですが小気味が良いほど決まっていてさすが~♪
Commented by @テツ at 2007-08-29 20:05 x
この路地の先に以前アップされた「奈々」があって路地を突き抜けてから右へ行ったところに「亀屋」さんがあるんですね。
不思議な帽子屋さんもすぐ近くです。
このあたりが道路拡張に伴う再開発で昔ながらの風情が消えてしまう前に
せいぜい写真でも撮って置きますか。そしてハイボールで胃の腑に印象を焼き付けておきましょう。
Commented by マフィンマン at 2007-08-30 00:58 x
nobulinnさん
ふふふ、「ハイボール街道」の呼称は事実です。
ふふふ、それとは別に、「酎ハイ街道」と呼ぶ人もいます。
ふふふ、ハイボール1杯250円也。4杯飲んでも1,000円ポッキリ也。
もっとも4杯飲むと、腰が立たなくなる恐れあり。
Commented by マフィンマン at 2007-08-30 00:58 x
lucca-truthさん
ハイボール街道が近いからと言って、酔っ払いがそこら中をヨロヨロ歩いている、ということはありません。
仰るとおり、夜は極めて静かな住宅街です。
ホント、ひっそりですよ。
ちなみに、「ハイボール街道」は、別名「酎ハイ街道」とも呼ばれています。
Commented by マフィンマン at 2007-08-30 00:58 x
Rambler5439さん
ゴールデン街の裏側って、いろんな人が撮ってますが、アラーキーも撮っていたのですか(最近は、『撮影お断り』の張り紙を界隈で見かけます)。
彼は若い頃、新宿西口で自作の写真を路上に並べて売っていたそうですね。
「1枚も売れなかった」と述懐しているのを雑誌で読んだことがあります。
そりゃ、そうだ。
Commented by マフィンマン at 2007-08-30 00:58 x
neonさん
荷風先生がこれを書いた1938年には日中戦争が始まり、翌年は第2次大戦が勃発してます。
それでも、先生は陋巷を歩み続けます。
全集で「断腸亭日乗」を読み返しているのですが、やはりこの作品は、そこらの歴史モノなど足元にも及ばない、大正~昭和における超一級の東京ドキュメントです。
Commented by マフィンマン at 2007-08-30 00:59 x
macky5-msさん
玉の井は、「墨東綺譚」を読んだことがなくても一度は訪れてみたくなる街です。
んが、実際に東武伊勢崎線の東向島駅(旧駅名・玉ノ井)の駅前に降り立つと――、
絶望します。
目の前には、ごくフツーの商店街が広がっているだけです。淡~い期待は、モノの見事に打ち砕かれます。
Commented by マフィンマン at 2007-08-30 00:59 x
rrbさん
「ハイボール街道」の呼称は、地元の人たちによるものですが、最近では散歩系雑誌などでも見かけ、市民権?を得つつあるようです。
もっとも地元では、「酎ハイ街道」と呼ぶ人もいます。
1杯250円。この安さが魅力です。
でも、近隣では「新東京タワー」の計画が着々と……。
Commented by マフィンマン at 2007-09-01 09:14 x
KENTさん
改めて解説しますと――、
この界隈を貫通している水戸街道沿い及びその周辺には、居酒屋がたくさんあるのです。
で、「亀屋」もそうですが、ハイボール1杯250円と異常に安い。この街では、ビールよりハイボール。
別名「酎ハイ街道」。好い店がホント、何軒もありますよ~。
Commented by マフィンマン at 2007-09-01 09:14 x
haru-155さん
実は、この写真、撮った記憶があまりないのです。
泥酔していたわけでもなく、ほろ酔い加減だったのですが、とにかく、何枚も撮りました。
で、手ブレせず、一番まともだったのが、この1枚というわけです。
アルコールの吐息がするとしたら、それは、酔っ払ったおいらの酒臭い息です(苦)。
Commented by マフィンマン at 2007-09-01 09:14 x
@テツさん
道路拡張については、以前投稿した際は秋にも工事が始まる勢いだったですが……、
その後、状況が変わったのか、一気に拡張という話は後退したようです。
まあ、住民それぞれの財産に関わることなので、ストレートに物事は進まないようです。
とりあえず、おいらは飲み続けるだけです、グビグビ。
Commented by 太郎 at 2007-09-02 18:50 x
街灯に照らされた町は
格別の雰囲気ですね。
ブロック塀、アスファルト
モルタル壁、さびた鉄板
などが質感をリアルに
さらけだして寂しげです。
近所に「酎ハイ街道」ですか!
興味深い未知の世界です^^
Commented by マフィンマン at 2007-09-04 06:23 x
太郎さん
ごくフツーの住宅街なのですが、何せおいらはホロ酔い気分なので、何にでもついついシャッターを押したくなります。
でも、さすがに、現像してみると手ブレばかりでした。
クソ暑い夏もようやく終わろうとしてます。ハイボールが美味い季節になります。
Commented by rie at 2016-07-28 19:45 x
はじめまして
いろいろ検索してやってきました。
ずっと心に残っていた写真です。
やっと見つけられて嬉しいです。
時間も空気も止まっているような、舞台のセットみたいな、
不思議な雰囲気のある好きな写真です。
また見に来ます。
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