靴音が、やけに響く。 人々のおしゃべりも容易に聞き取れる。
静かで、そして、暗い。
賑々しいアナウンスや音楽、電子音が消えました。
派手派手しいネオンの灯火も消えました。
永井荷風の 『断腸亭日乗』 に、やはり静かで暗い東京が描かれています。
昭和18年 (1943) 7月23日付――、
花川戸より新橋行の市電に乗る。 夜はまだ八時過なるに沿道の商店大方戸を閉したれば街上暗黒、鼻をつままれてもわからぬ程なり (中略) 銀座通は尾張町あたり露店の燈火かすかに散歩の人影を照すのみ。 電車もさして混雑せず麻布谷町にて降るまで腰かけていられたるも不思議というべし。
ぶらり~散歩♪